全米注目のケーリーちゃん事件 裁判詳報④

ケーシー被告の兄リー・アンソニー
ケーシー被告の兄リー・アンソニー

全米注目のケーリーちゃん事件の裁判続報です。

公判27日目(6/24)はケーシー被告の母親シンディだけでなく、兄のリーも弁護側の証人として登場しました。

二人はこれまで、対する検察側の証人としても証言しています。

【事件の概要】

 事件の発覚は、20087月。フロリダ州オーランドで当時2歳のケーリー・アンソニーちゃんが行方不明になったというケーリーちゃんの祖母からの通報がきっかけだった。祖母によるとケーリーちゃんの姿が見えなくなったのは通報の1ヶ月前の6月。通報から3ヶ月。検察は、ケーリーちゃんの母親ケーシー被告(25)を殺人罪などで起訴した。2ヵ月後の200812月、ケーリーちゃんの遺体は、自宅近くの森の中から見つかった。検察側の宣誓供述書作成などに時間がかかり、裁判の開始は事件発覚から2年半が経った今年5月までずれ込んでいた。事件がこれまでに大きく報道されたことから、陪審員は別の郡から選ばれた。



<公判27日目 6月24日(金)>


・母シンディが証言台に立つと、生前のケーリーちゃんがケーシー被告と遊んでいる様子を映したビデオが法廷に流された。それを見たシンディ、そしてケーシー被告が涙を流した。
* 撮影時期は事件の1年以上前。映し出されたケーリーちゃんは、遺体近くで発見されたのと同じ短パンをはいている。
 
<弁護士の主張>
ケーリーはこのあとの1年で大きく成長している。事件当時はこの短パンははけなくなっていたはず。
⇒ 「現場にあった短パンはケーリーには小さすぎる」というシンディの事前の証言を裏付けるため。
 
<母シンディ・アンソニーの証言>
事件の頃に、ケーリーがこの短パンをはいているところを見た覚えがない。
 
<検察の反論>
(事件当時はもうオムツが取れていたというシンディの発言を受けて) オムツが取れていたならその分サイズも小さくなり、この短パンも入ったのではないか。
 
 続いて弁護側は、被害者のケーリーちゃんが自宅のプールの外側に付いているハシゴ(プールが地面より高い位置にあるため)を、シンディの手を借りて登っている写真を紹介。
 
<母シンディ・アンソニーの証言>
・被害者のケーリーは一人でハシゴに登りプールに入ることができた。家からプールのある裏庭に出るスライドドアも一人で開けることができた。 (⇒溺れて死亡する可能性があることを印象付けるのが狙い)
 ・普段はケーリーが一人でプールに入らないように、ハシゴをプールに立てかけたままにせず、下に置いておいた。
・しかし、(弁護側が溺死したと主張している)2008年6月16日に帰宅すると、プールにハシゴがかかっていた。


<兄リー・アンソニーの証言>
・ケーリーの出産に絡む家族の確執について、兄のリーは涙ながらに語った。(それを聞いていたケーシー被告の目にも涙。)
・自分には、ケーシーが出産する直前まで妊娠のことを知らされていなかった。
・出産時、両親やケーシーとは一緒に病院にはいなかった。「のけ者にされていた」ことに腹が立ったので距離を置いた。
・ケーシー被告の車のトランクにあったシミ(検察は死体が腐敗する際に出る液体と主張)について ・・・  自分が妹にその車を譲る前からシミはいくつかあった。


 リーの証言を聞いていた母シンディはあからさまに不機嫌な表情になり、夫であるジョージと共に証言の途中で法廷から出て行ってしまった。
 弁護側がなぜこの日、兄のリー・アンソニーに家族の確執について証言させたのか、「まったく不可解」と評する専門家の声もある。